電子書籍部ログ

  • 電子書籍の販路─どこで売る?(2) (2015.03.16)

    電子書籍の販路としては,ストアで売るほか,自社サイトで直販するという選択肢もある。
    配信や支払のシステムなどを自前で用意しなければならないが,本の価格の100%が売り上げとして入ってくる。

    仕事でお付き合いのあるかたから,ある成功例をうかがった。

    ある専門書出版社でのこと。

    専門書なので,紙の書籍で一定の層の読者はつかんでいる。
    専門書なので紙版はそこそこ大きい。
    場所をとらない電子版のニーズはあるはず。

    こうした判断のもと,自社のサイトから電子書籍版の直販を開始した。
    しかし,思ったような売れ方をしてくれない。

    どうも電子書籍版を出しているということが周知されていないようだ。

    そこで小型の端末で読むことを想定したリフロー版を大手電子書籍ストアで販売し,リフロー版とPDF版をセットにした商品を自社のサイトで直販することに。

    つまり,大手のストアを周知の場として使うという発想だ。

    紙版の書籍では図表や注記などは文章の流れに合った位置にレイアウトされる。
    専門書であれば,内容理解の上からこうした配慮が保持されるPDF版を望む読者も多い。

    結果として利益率の高い直販が伸び,電子書籍事業が軌道に乗ったという。

    電子書籍を読む端末がスマホやタブレットが多いという傾向から,データフォーマットはリフロー型が望ましいとする考えかたが一般化しつつある。
    そんななか,読者に求められる自社製品の姿を正しく把握して,流れの逆を行った見事な戦略だと思う。


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  • 電子書籍の販路─どこで売る?(1) (2015.03.04)

    うちが最初の電子書籍『4 letters, 1000 words-4文字の英単語どのくらい知っていますか-』を出したのが2013年の1月。
    細々とだが電子書籍事業を展開して2年ちょっとということになる。

    この間,電子書籍の業界は出版点数でも売り上げでもかなりの伸びを見せ,電子書籍ストアも乱立と言われるほど増えてきた。

    うちのような零細電子書籍版元にも,Amazon以外の電子書籍ストアから「うちのストアでも販売しませんか」という声をかけていただくことがこれまで何度かあった。

    出版物に目をとめてもらってうれしいとは思ったが,今のところほかの電子書籍ストアでの販売には至っていない。

    販路が広がるほど売り上げが増すのではないかと考えがちだが,電子書籍についてはそうとも限らないようだ。

    実際,複数のストアでの販売を試行してみた著者の話も目にしたり耳にしたりするが,結果としてはシェアの大きな2,3のストアでの売り上げがほとんど,ということも多いらしい。
    名のある出版社から出している書籍であってもそうなのだ。

    こうした状況に加え,AmazonはKDPからの出版物に対してはコンテンツ確保と差別化のため(と思われる),一定期間ほかのストアでの販売をしなければ,その期間は70%のロイヤリティや貸し出しサービスで借り出された本にも分配金を出すといった条件を用意している。
    出版してみると,この貸し出しサービスの分配金というのが,なかなかばかにならない。

    かくして,うちの場合はAmazonに囲い込まれているわけだが,将来的にも販路についての方針を変えないのかと言われれば,そんなことはない。
    生き残っていこうとするストアは,コンテンツの確保のため版元や著者に対して,ほかのストアに後れをとらないよう手を打ってくるはずだ。
    ストアから撤退する業者も出てきており,電子書籍ストアの整理の動きも感じられる。

    勢力図がはっきりして,各ストアの利用者数やロイヤリティなどの条件から,現状よりもメリットがある販路が見えてくるなら,もちろん方針を変更するし,そんな状況の出現は歓迎したい。

    ─続く。


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