電子書籍部ログ

  • 微妙な読み放題 (2014.07.29)

    先日KDPから「Kindle読み放題プログラムのご紹介」というタイトルのメールが来た。

    月に9.99ドルの利用料をアマゾンに払うと,60万冊の電子書籍が読み放題となるサービスが始まったとのことだ。
    とりあえずは米国のアマゾン利用者のみが対象となっている。
    サービスの名称はKindle Unlimited。

    電子書籍の有料図書館をイメージさせるが,こうしたサービスは先行するものがあり,そこにいよいよアマゾンが参入という流れだ。

    ひと月に数冊以上の本を読む人にとってはお得なサービスだろう。
    相当な利用者が見込めるのではと思ったが,問題もあるようだ。

    いわゆる大手出版社の本はこの60万冊には,まだ含まれていないものが多いらしい。

    う~む,それではなあ。

    このサービスで本が読まれると,本の提供者にはKDPセレクトグローバル基金から分配金が支払われる。
    販売によって発生するロイヤリティーではない。
    あらかじめ額の定められた基金を分配するということなら,利用されればされるほど1冊当たりの分配金は少なくなる。
    となれば人気のある本を多く有する大手出版社が,このサービスに本を提供するのを手控えるのもうなずける。

    このあたりの条件をめぐっては,今後もアマゾンと出版社との間で交渉が続いていくのだろう。

    日本ではまた別の事情で難しい,という感じがした。

    現状,日本の電子書籍のジャンル別点数ではコミックスの割合が大きい。
    それだけニーズがあっての,この状況のはずだ。
    逆に言えば,このジャンルが読み放題サービスの対象にならなければ,サービス自体のニーズは小さいと考えられる。
    電子書籍コミックスを購入する場合は1冊当たりだいたい400~500円というところ。
    もし読み放題の対象となれば,月9.99ドル(約1000円)の利用料なら,3冊読めば元が取れる。
    マンガ喫茶なら3時間ほどの利用料でひと月読み放題。
    実現すればコミックスの購入者が激減することは明らかだ。
    出版社がこれを阻止しようとすることはあっても,積極的に協力するとは考えづらい。

    それでもあえてというなら,コミックスとその他の書籍では読み放題の料金設定を別にせざるを得ないだろう。
    たとえばコミックス読み放題なら月10000円とか。
    (それでも20冊ぐらい読めば元が取れると考えれば安いかな?)


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  • いまどのあたり?─(2) (2014.07.22)

    新しいものが普及していくようすは消費者としていくつか体験してきた。

    ラジカセ,ウォークマン,家庭用ビデオデッキ,電子レンジ,パソコン,携帯電話,等々。

    どれも従来なかった便利さや魅力を備えており,それをアピールする宣伝広告も積極的に行われた。

    だが,それに加えて,普及を促進する特に具体的な要因があったものと,そうでないものがあったような気がする。

    パソコンはWindows98の登場で一気に使い勝手がよくなり,使用者も急増した。
    家庭用ビデオデッキは,アダルトビデオ見たさに普及が進んだという側面は無視できないと聞く。

    これに対しラジカセ,ウォークマン,電子レンジ,携帯電話などは特定の普及促進要因があまり記憶にない。

    電子書籍の状況は,今のところ後者のグループに近いと思われる。
    (近い,というのは普及の道半ばだからだが)

    大量の書物を場所をとらずに保管できる,文字の大きさが自由に変えられる,ネットにつながる環境があれば,その場で本を購入して読むことができるといった明白な利点はあるので普及はしていくはずだ。

    とはいえ,現状では普及のスピード感が乏しい。

    上にあげた利点のPR活動も足りないのだろう。
    また,寂しい話だが,一般的に時間の使い方として,ネットやゲームに費やす時間が増えて,読書時間は減っていると言われている。
    読書の魅力が相対的に弱まっているなら,電子書籍を読もうという人だって増えにくい。

    となれば,電子書籍で読める魅力的なコンテンツがどれだけ用意できるかが,普及にはまずは必要だ。
    その意味でコミックスなど人気の高い本の電子書籍化を積極的に進めているのは正しい。

    次の一手としては,「電子書籍でしか」読めない強力なコンテンツの投入に期待したい。
    こうしたコンテンツが数多く登場すれば普及に弾みがつく可能性は高まる。
    そんな人気コンテンツなら紙版も出して儲けたい,というのは当然だ。
    そこを少し耐えると,長い目で見れば電子書籍ビジネスの成長につながるのではないだろうか。
    先行発売という名目で,『ワンピース』とか『ハリー・ポッター』クラスの人気コンテンツの新刊が1か月は電子書籍でしか読めない,となれば…。


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  • いまどのあたり?─(1) (2014.07.15)

    先日東京国際ブックフェアがあった。

    電子書籍Expoについては,情報収集に行ってもらった社員から報告を受け,ネットも含めメディアで取り上げられた記事にいくつか目を通した。

    新たなサービスや関連ソフトの紹介などがあったが,電子書籍端末が勢揃いした昨年に比べると,やや落ち着いた感じだったようだ。
    インフラは整ったので,規模や多様性という面からビジネスとしてどのように成長させていくかにテーマが移りつつあるということかもしれない。

    電子書籍の点数は確実に増えており,今後利用者数も伸びていくという見通しで,出展各社ともさまざまな展開を試みている。

    出版業界にあっては成長分野。
    電子書籍に関連する統計的な数字を見れば,少なくとも現状では,それは間違いないようだ。

    出版社もコミックスを積極的に電子書籍化して,その最初の何巻かを無料で読めるようにしたり,電子書籍に限った割引キャンペーンを実施するなど販促に力を入れている様子は見てとれる。

    ただ,一般的に電子書籍の普及が進んでいる実感があるかといえば,たびたびこのブログでもふれているが,まだまだというのが正直なところ。

    普及が進まなければ,せっかくの新しい試みも宝の持ち腐れとなりかねない。

    出版社にせよ電子書籍書店にせよ,それぞれあるいは共同でプランを持っていると思うのだが,電子書籍の普及の道のりは,いまどのあたりなのだろうか。

    ─続く


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  • サービス開始希望 (2014.07.08)

    5月のブログの中でKDPの「販促ツール」のことにふれた。

    KDPから出版した電子書籍の割引販売キャンペーンであるCountdown Dealsは,今もまだAmazon.comとAmazon.co.ukでしか利用できない。

    うちの電子書籍もこのところ販売部数が伸びず,販促のしかたに頭を悩ませているところだ。

    実は「販促ツール」ではないが,日本のAmazonでも利用可能となってほしいサービスがほかにもある。

    電子書籍をプレゼントできるサービス。
    現在Amazon.comでは使える。

    うちの電子書籍の周知活動の一環として,単語学習シリーズからほぼ毎日単語クイズをブログに掲載している。
    もちろん答えも一緒にだ。

    上のサービスが使えれば,答えは掲載せずにメールで送ってもらい,正解者の何人かに出題元となった電子書籍をプレゼントする,といったイベントも構成することができる。

    また,モニタリングしてくれる人に贈って,意見を収集するなどいろいろ活用のしかたがあるだろう。

    何より,知人や仕事の関係者に「ちょっと試しに読んでみて」と気軽に渡せれば,リアルな営業の場では強力な武器となりうる。

    プレゼントする側には課金されるのだから,Amazonのビジネスとしても悪いことではないはずだ。
    (出版元や著者には課金率を下げるといった配慮があれば,なおうれしいが)

    早いところ何とかしてもらえるとありがたい。


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  • ちょっとブルーな梅雨の宵 (2014.07.02)

    先週の土曜日の夕方,外出中に雨が降ってきたので近くの商業施設に雨宿りに入った。
    物品販売店だけでなく,飲食店も多数入った複合ショッピングモールだ。
    観光スポットも近いので,それにちなんだ商品を売っている店も多い。

    買い物だけでなく食事目的で訪れている人も多い時間帯のようで,施設内はかなりにぎわっていた。

    書店もある。
    本以外に多少文房具も置いていて,売り場面積もそれなりに広い。
    施設内の人の多さからするとわりとすいていて,店内にいるとほっとできる。
    比較的混んでいたのは雑誌と旅行ガイドやグルメガイドなどが置いてある一角だ。

    その一角のすぐそばに電子書籍コーナーが設けられていた。
    店のいちばん外側で,買い物客が行き来する通路にも面している。
    人目につきやすいかなりいい場所だ。

    リアル書店で電子書籍販売が開始されたことは知っていたが,現場を見たのは初めてだった。
    デモ用の端末が2台と書名が印刷されたカードが並べられている。
    このカードをレジに持っていくと電子書籍が購入できるらしい。
    カードの種類はあまり多くなく,話題性や人気の高いものにしぼっているようだ。

    電子書籍を読んでいる人はまだまだ限られている。
    実物にふれて興味を持ってもらう場を増やしておくことは,市場の拡大のためにも必要だろう。
    いろいろなリスクから,ネット経由での支払いに抵抗のある人にとっても書店で現金支払いなら安心だ。

    通路を挟んだ逆側の壁に沿って,買い物途中で休憩できるよういすが並べられていた。
    少し歩き疲れてもいたので,電子書籍コーナーの見えるところに腰を下ろした。

    20分ほどたっただろうか。

    なかなか厳しい。

    時間帯のせいか?日が悪いのか?たまたまそうだったのか?

    このコーナーに足を止める人は一人もいなかった。

    うちだけではないね,電子書籍で苦労しているのは。


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