電子書籍部ログ

  • 【制作の現場】─原稿作成編 (2013.02.28)

    というわけで,まず4文字の単語の掲載候補の選定を終えた。

    次の作業が,このツールのポイントとなる。

    選んだ単語を,共通の綴り部分によってグループ化する作業だ。
    共通でない部分を伏字にして,読者には訳語を参考にここを埋めてもらう。
    基本的なアイディアは,前々回のブログで紹介したものと変わらない。

    このアイディアによって,単語学習にクイズ性・ゲーム性を持たせるが,
    狙いはそれだけではない。

    ・似た綴りの語をいくつかまとめて覚える。
    (1つずつ覚えるよりも効率的なこともある)
    ・綴りが似ていて紛らわしい(かもしれない)語を並べ,
    クイズ的要素をからめることで,違いを印象づける。
    といった効果も期待している。

    だが本当に都合よくグループ化ができるのか。

    実作業はこの不安との闘いだった。

    以下作業中の心のつぶやき。

    (あ~,だめだこのパターン。マッチするのが1語だけ)
    (う~,まただめ)
    (これはどうだ?)
    (お~,こんなパターンでもいけるか)


    …できた。できました。


    選定した語すべてを,グループ化できたわけではないが,
    1000語(正確には1049語)を233のパターンに振り分けた。

    こんな風に分けられた単語の光景を見ているのは,
    世界でまだ自分ひとりだ。

    ちょっとわくわくしてきましたよ,ええ。

    これに訳語をつけて。
    発音記号もほしいな,やっぱり。

    さて,うちの仕事人たちの出番だ。


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  • 【制作の現場】─原稿作成準備編 (2013.02.25)

    アイディアは固まった。

    原稿作成に向けて具体的な準備をしよう。
    まずは収録語をどのように選定するか。

    学習用の英和辞典,英英辞典には見出し語に重要度のランク表示をしているものがある。

    こうしたランクは,昨今では,コーパスなどから統計的に引き出された使用頻度を参考に,編者が判断してつけているものだろう。
    英和辞典の場合は,これに中高の教科書での使用といった視点も加味されているものもある。

    こうしたランクを調べていくと,「ごく基本的な語」については,各々の辞書の間で重なるものが多い。
    重なりは,AからZまでで3000~4000語というところだ。
    これらはまず押さえたい。

    もちろんこれだけでは物足りない。
    覚えておくと重宝する語をさらに加えなければ。

    どのように?

    企業秘密です。
    (一度言ってみたかった)

    具体的な手法はさておき,気を配っておきたいことがあった。
    辞書のランク情報のみから,語の選定を行わないということだ。

    辞書の世界でもデジタル技術が導入されて,編集作業がスピード化された。
    とはいえ,制作にはそれなりに時間はかかる。
    本として世に出たときには,すでに古くなっている情報もないとはいえない。
    語によっては時事的要因で,使用頻度が大きく変化していることもある。

    それと,スポーツ,趣味,娯楽,ファッション,料理などに関する語。
    辞書では概して,あまり重くは扱われていない。
    しかし,実はなかなかの働き者だ。
    知っていると,いろいろ助かったり,
    楽しい思いをすることも多い。


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  • 楽しくなければ続かないが…─具体的なアイディアへ (2013.02.21)

    さて,具合のいい単語学習ツールを作るにあたっては,
    まず単語を覚える「つらさ」を何とかしなくては。

    楽しくやりたい。
    それはそうだ。

    では,楽しい単語学習ツールとはどんなものか。

    ゲーム機で使える英語関係のソフトや,ネット上で見つけた英単語ゲームのようなものをいくつかやってみた。

    楽しい。
    点数だとか評価が出るものだと,むきになる。

    英米人が作った(と思われる)ものもやってみた。
    エー,チョットムズカシスギルコトガアリマス。
    適度にわかるものでないと,多くの人に使ってもらうのは難しそうだ。

    どれも,区切りのいいところまでやると,けっこう達成感がある。
    しかし,ひととおりやるともう一度繰り返してみようという気があまり起こらない。

    歳のせいか,血液型(B型です)のせいだろうか。

    ゲーム性の強いものほど,「楽しい刺激」が二度目以降はがくんと減ってしまうようだ。
    単語学習には反復がつきものと考えれば,「刺激」が主体になると逆効果かもしれない。

    楽しさと学習性の程よいバランス。
    飽きのこない"マイルドな楽しさ"。
    よし。この線で。

    もちろん紙版の単語帳もいろいろ見てみた。
    紙面づくりの試行錯誤を繰り返す。
    他書とのアイディアの類似の回避には特に気を配った。
    その結果が『4 letters, 1000 words』となったわけだが,
    アイディアが固まって,最初に作ったサンプル原稿は,こんなものだった。


    ca□□

    ① * 現金			_____
    ②   つえ,ステッキ		_____
    ③ * 喫茶店,カフェ		_____
    ④ **comeの過去形		_____
    ⑤ **箱,容器;事例		_____
    

    解答
    ① cash 現金
    ② cane つえ,ステッキ
    ③ cafe 喫茶店,カフェ
    ④ came come の過去形
    ⑤ case 箱,容器;事例


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  • う,また出た (2013.02.18)

    "はじめてのでんししょせき"の覚書もまだ序盤。

    次のブログの原稿を用意しようと思っていたところ,
    思いのほか早く,"にどめのでんししょせき"ができてしまった。


    "にどめ"なのでもう怖くはない。


    うちのスタッフ(職人と呼びたいが)にとっては,一度の経験で十分だ。
    各自の持ち分を無駄なくきっちりこなしてくれた。
    さすがだ。

    1冊目の評価もちらほら耳にするようになった。
    ねらいどおり楽しんで学習してもらえる,という手ごたえはある。

    ラインナップが増えれば,認知されるチャンスも増えるだろう。
    とにかく多くの人に使ってみてほしい。

    『4 letters, 1000 words』は紙の書籍換算で約500ページ。
    『5 letters, 1500 words』は約800ページ。

    それが300円と350円。

    いいのか? こんな値段で。


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  • 単語は覚えるのだよ。延々と─企画の発端 (2013.02.14)

    うちは語学関係の編集プロダクションだ。

    英語をはじめとした外国語の辞書を中心に,編集を手がけてきた。
    原稿作成・編集,DTP組版,データ処理などのノウハウは,"辞書編集"の作業を通じて培ってきたものだ。
    このノウハウをベースにして,さまざまな語学関係の書籍の編集や,デジタルコンテンツ用のデータ作成・処理を行っている。

    扱うのはやはりというか,英語学習用のものが多い。
    中学生(最近では小学生もちらほら)向けから,ビジネスマン向けのものまである。

    当たり前のことだが,どの学習レベルでも単語を覚える作業はついてまわる。
    中学生でごく基本的な単語。
    高校生になれば,大学受験へ向けて。
    大学生なら,学んでいる分野の文献などの情報を理解するための語彙。
    社会人は,仕事に必要な語。TOEICなど資格試験用。

    社会に出ても英語との付き合いが続く人は多く,そうした人たちにとっては単語を覚える作業との付き合いも続いていくわけだ。
    忘れてしまった単語を思い出す作業も発生する。

    それぞれの用途・レベルに応じた暗記用の単語集は多数世に出ている。
    その時々に応じて,こうした単語集で単語を覚えた(あるいは今覚えている)という経験は,もともと英語圏での生活が長い人を除けば,ほとんど誰しもがもっているはずだ。

    これらの単語集もうちの飯の種の一つだから,いろいろなレベルで需要が発生し続けるのはありがたい。

    自分もこうしたレベルに沿って覚えてきた者のひとりだ。


    だが,しかし。


    …つらいのだ,これが。

    1冊の単語帳に下線やらマーカーを引く。
    なかなか覚えられない単語には,色の違うマーカーを重ねて塗るものだから,混色の結果,黒く塗りつぶしたようになる。
    かえって見づらく覚えづらい。

    反復学習しなければ覚えられないので,この見づらい単語帳を何度も見返したり,もっと前に覚えたはずの単語を忘れてしまっていないか確認するのに,以前使っていた単語帳も引っ張り出してきたり,といったことが中学あたりから始まった。
    愉快な体験としては記憶されていない。


    何かもっと具合のいい,都合のいいツールだ。ほしかったのは。


    長い目で見て,いずれは覚える語彙については,それを覚えようと思い立ったときにいつからでもはじめられる単語集があってもよいのではないか。

    やる気のある中学生が,ごく基本的な語彙を学習しつつ,今覚えておけば後々楽になるような語彙にも触れられる。
    中学生の時にはやる気のなかった大人が,今必要な語彙を覚えながら,ごく基本的な語彙も確認・復習できる。
    そんなツールができないか。

    おととしの秋ごろ,中学生向けの英単語集を作りながら,考え始めた。


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  • あ,出た (2013.02.12)

    1月26日の午後だった。

    自宅のパソコンにメール着信のメッセージが現れた。
    社用アドレス宛メールの転送だ。
    差出人はKindle Direct Publishing (KDP)。

    アマゾンのサイトに入り,"ジャレックス"で検索する。

    テレビを見ている家内に声をかけた。

    「ちょっと来て。これ見て」

    「あ,出た」

    なんという会話。
    カエサルの「来た,見た,勝った」のようだ。

    Kindleストアの中に,おとといKDPに提出した"4 letters, 1000 words"の表紙が見える。うちの電子書籍処女刊行物が発刊となった。

    全世界発売にしておいたので,アマゾンブラジルやアマゾンイタリアなどでも見てみる。おお,出てる出てる。

    編集プロダクションとしてうちが関与した書籍の点数は三桁にのぼる。
    編集協力,DTP組版,翻訳担当,編著者などとして社名が掲載された本が出るたびに,達成感や安堵感の入り混じった感慨をいだく。

    だが,これはまた別物だ。
    電子書籍とはいえ"出版社"となったわけである。
    それも"グローバル"な。

    編集プロダクションをやるモチベーションのひとつは,自分たちのアイディアを本という形にすることなのだが,紙の本となると自前での出版は資金や流通面などでハードルは高い。
    電子書籍の出現でこのハードルは劇的に下がった。

    下がったからといって簡単にできたわけではないし,イージーにやっつけたわけでもない。
    うちのスタッフはそれなりに皆年季が入っているが,電子書籍を頭からしっぽまで手がけるのは初めてのことだった。

    "はじめてのおつかい"ならぬ"はじめてのでんししょせき"。
    成り行きをちょっと記録しておこう。


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